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それから暫くわからない道を淡々と進む白(つくも)に対して螺糸(らいと)は一抹どころではない不安を募らせる。
「ねえ……これ、ヤバくない?」
「うん……研究員にも会わないから道聞けないしね」
相変わらず慌てた様子のない白にますます不安になる螺糸。
すると目の前に現れたのは一つのエレベーターだ。下へ向かうボタンしかなく、そのボタンの▼のマークも頻繁に使われているらしく、薄れて見えずらくなっている。
「行ってみよっか」
「え!?」
いきなりの提案に驚愕する螺糸に対して、白はいつもの無表情で首を傾げる。
「どうしたの?」
「どうしたの?って! 私達一回もエレベーターとか階段とか使ってないんだよ!? 曲がったりはしたけど!!」
「でもさ、多分このままじゃ日が暮れちゃうよ? このエレベーター結構使ってるみたいだから、下に行ったらきっと研究員の人に会えるよ」
「そっか……そしたら研究員の人に道案内してもらえば良いんだ!! 流石刃ぁちゃん!!」
納得してエレベーターに乗り込む白と螺糸。
しかし、そのエレベーターには行き先のボタンが一つしかなかった。
〝50〟と書かれたボタンが一つ。
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