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「てい」
「躊躇なしっ!?」
白(つくも)に50のボタンを押されるとあっという間にドアは閉まり、エレベーターはグンッと下に向かって動き出した。
まるでもう二度と地上には戻れないのだと言う様にエレベーターはハイスピードでドンドン降下していく。
「……なんか(この先には行っちゃったらもう……)」
「うん?」
「ううん……私一応覚悟決めとくよ」
「?」
妙な緊張感を一人感じている螺糸(らいと)に対し、やはり冷静な白は首を傾げる。
5分もするとエレベーターは停止し、ゆっくりと扉が開く。
そこに広がっていた光景は、白い床と壁がただ真っ直ぐ続き、左右二つある扉と十メートル先にあるセキュリティの付いた自動ドアらしきものがあった。
白はおもむろにエレベーターからその白い廊下へ踏み出す。
「ちょっと刃ぁちゃん!」
「だって、研究員さん探さなきゃ」
迷いなく廊下を進んでいく白に慌てて着いていく螺糸。そこで思い付く、単純な妙案。
「あ!! そうだ携帯使ってお父さんに!!」
「ここ多分地下だよ?」
白が冷静に切り返すのを押し退け、携帯を取り出す螺糸だったが、案の定「圏外」が虚しく目に入る。
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