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「この扉……開くと思う?」
「十中八九開かないんじゃないかな?」
「ですよねー……はあ」
螺糸(らいと)が突然しゃがみ込んでしまう。
白(つくも)も親友が心配になり、同じくしゃがみ込んで螺糸の顔を覗き込む。
「大丈夫?」
「このまま帰れなかったらどーしよぉ……」
「ごめんね露霧ちゃん……私が無鉄砲に進んだから」
「え? あ! 刃ぁちゃんは悪くないよぉ!! 大丈夫大丈夫!!」
顔を上げ、必死に弁解する螺糸。
「ん? あれなんだろ?」
セキュリティの付いた扉の角の隙間に何かを見付ける螺糸。
歩み寄って隙間に手を突っ込み、その何かを取り出す。
「これ……カード? クレジット……じゃないみたいだけど……」
「これに使うんじゃない?」
立ち上がった白が指差したのは正面のドアのセキュリティ。
そこにはカードをスライドするための縦の溝が付けられていた。
「……まさかそんなわけ」
試しにカードに書いてある矢印の方向にカードをスライドさせてみる。
するとピピッと言う音と共に緑色のランプが点き、アッサリと扉が開いてしまう。
「運が悪いのか良いのかわからないね」
「私もそう思うよ刃ぁちゃん……」
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