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目の前に広がった光景は、これまた異空間と言えるほど広々とした広大なコンクリートの打ちっぱなしの空間。
弱々しく光る幾つもの蛍光灯と対面にある自動ドア意外は何もない空間に、二人は唖然としていた。
「ひ、広いね……刃ぁちゃん」
「うん。声が響くね」
二つが中央まで歩いて行くと、またも冷静に辺りを観察する白(つくも)。
「正面の扉しかないみたいだよ」
「もうここまで来たら進むしかないね」
なんだか仰々しく聞こえる台詞を言葉にするのを開始に自動ドアまで踏み出す。
するとこれまたアッサリと開き、先程と同じ様な廊下が現れる。
「ま、またぁ?……」
「仕方ないよ。出口探そ? それか研究員」
しかし、先程と打って変わって部屋らしきドアは一つしかなく探しようがなかった。
しかもそのドアの隣にはインターホンまで付いている。
「行ってみよ?」
「う、うん……」
ドアの前まで来てインターホンのボタンに指を掛ける螺糸(らいと)だったが、かなり渋っている。
「てい」
「刃ぁちゃ~ん!!」
ピンポーンッと白が躊躇なくインターホンを押す。
すると暫くして中でドタドタとこちらに向かってくる音がだんだん近くなる。
するとガチャと取っ手を回す音と共にいよいよ扉が開く。
「わざわざ押し掛けてくるなよ…実験ならお断り……」
「「………」」
「……誰?」
長い純黒の髪の男が現れた。
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