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東京のとある研究施設。
掲げている看板は「自然エネルギー供給開発研究所」。
しかしその遥か地下約50メートルでは全く違う研究をしていた。
その題材は「感情兵器(エフェクトウェポン)」。
15年前に突如として不特定多数の限られた人間にのみ発現した全く正体不明の能力。
そんな能力に縛られる一人の青年がこの研究所の地下に〝隔離〟されている。
隔離と言っても待遇は豪華絢爛なもので、自由に使える2LDKの部屋に35インチの液晶テレビにBlu-rayレコーダー、フカフカのベッドは勿論何万もするボールチェアまであり、更に備え付けの電話から要望のものを可能な限りリクエスト出来るという贅沢ぶり。
そんな待遇を用意してまで研究施設はその青年を隔離し、研究している。
彼もこの贅沢三昧に不満を漏らすこともなくただ黙々と毎日実験に協力していた。
そしてその彼は今、ボールチェアに深く腰掛け朝の情報番組の占いをボーッと眺めていた。
『今日の一位は山羊座の貴方! 今までの退屈な日常を一変させてくれる素敵な出逢いがありそう!!』
「……隔離施設で誰と出逢うんだよ? 研究員か?」
そんな占いを彼はただ傍観し続けた。
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