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「刃ぁちゃん一緒に帰ろ♪」
「うん。露霧ちゃん」
彼女は白(つくも)の幼馴染みで唯一の友達の「螺糸露霧(らいと ろむ)」。
小さい頃、たまたま隣に越してきたのが父親の仕事の部下で、その部下の娘が螺糸露霧。
父親の知り合いという事もあり、白と螺糸は直ぐに打ち解け、その日以来ずっと一緒に過ごしてきた親友である。
螺糸は白と違い、黒髪を後ろに纏め、綺麗系の顔立ちが大人びた雰囲気を醸し出すものの性格はいたって明るく、友達も多い。
そんな彼女はニコニコと笑顔を白に向けて支度が終わるのを待っている。
「今日は……研究所寄らないといけないんだっけ?」
「うん。お父さん昼休みになって夕飯にって作ったお弁当忘れたって連絡してくるんだもの! お陰でお昼御飯食べ損なっちゃった……」
「お父さん仕事抜けてお弁当買いに行ったり出来ないの?」
「なんかね、今が一番の山場でその時間も惜しいんだって……だからって夕飯食べないと持たないとか言ってさ」
愚痴を溢す螺糸に白はいつもの無表情を緩め、少しだけ口角を上げる。
螺糸の父親はとある研究施設で働く研究員の一人で同じ東京にその研究施設はあるらしい。
「そっか。じゃあ行こっか」「うん♪」
学生鞄を片手に持ち、席を立つと二人で教室を後にする。
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