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同日、午後4時32分。
淵夜叉終(ふちやしゃ おわり)は研究員と口論していた。
自室は見られたくないという理由で淵夜叉は研究員から呼び出しがあった場合はいつも研究員用の自動ドア前で連絡を受ける。
今回も同様の場所で淵夜叉が突っぱねる。
「やらねぇよ。一日に二回も実験とかふざけんな」
「頼むよ! 室長が久々に娘さんに会って仕事振りを見せたいって聞かないんだ!! 今回の実験は殺すタイプじゃないから!!」
「知らねぇよ。大体実験見せて大丈夫なのかよ? 偽の看板掲げてまで俺を隠して「孤独」の感情兵器(エフェクトウェポン)使いに人工人(ホムンクルス)を作らして俺の実験してんのを一般人に見せて」
この研究施設の他にも、各地に感情兵器の実験施設が存在する。
公式的に公開されている実験施設も在るが、大半は淵夜叉の様に秘密裏に実験は行われている。
その理由が『危険性』と『残虐性』だ。
人間が行使するとはいえ、一応は〝兵器〟それなりの設備がなければ実験など行えないし、時には「孤独」の感情兵器使いが作った人工の人間、人工人を使った〝殺傷能力テスト〟等、残虐性のある実験も行われる。
故に淵夜叉は勿論、発現出来る約八割の感情兵器使いが秘密裏の実験を行っている。
「だから殺すタイプの実験はしないって! 室長が上司に「残虐性の高い実験はしない」って土下座までしたんだよ?! これで無理でしたなんて室長に言えない!! 言えるわけない!!」
「だから知らねぇよ!!」
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