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「えっ!ちょ、なんで泣いてるん?」
何故か横山を睨み上げ涙が零れないように堪えている村上の姿があった。
「…っ、よこのアホ!」
捨て台詞と共に箱を投げられ、しかも腹に当たり若干いらつきながらソレ拾い上げる。
その一連の流れを黙って見ていた滝沢は横山に歩み寄り肩に手を掛け耳元でボソリと告げた。
「ひなからのバレンタインじゃ
ないの?」
その一言に口をぱくぱくさせ、村上が出て行った扉を見つめる横山。
「…」
「…追い掛けなくて良いの?泣いてたんじゃない?」
ちらっと滝沢を見遣り横山は小さく溜息を吐いた。
「なんで追い掛けなアカンねん」
「え?じゃあ俺が追い掛けてもイイの?あの状態のひな…危険だと思うけどな」
訳が解らないと言った表情で再び滝沢を見る。
「ほら!」
横山は滝沢に背中を押され渋々と生徒会室から出て宛もなくうろついた。
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