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村上が横山にもたれ掛かったのが合図だったかのように、今まで騒がしかったのが嘘のように静まり返った。
「じゃ、僕達この辺で帰ります」
「仕方ないけど…帰りますわ」
そそくさと村上と横山を残して皆が帰ってしまった。
一体どうなっているのか…横山は酔っ払い村上を抱えながら呆然としていた。
帰り際の錦戸の舌打ちと安田の睨みが忘れられず、更に滝沢の黒い笑顔が背筋を凍らせた。
「ちょ、村上?」
「ん~?みんなはぁ?」
首に回っていた腕を丁寧に剥がしソファに寝かせていた時に村上が問い掛けて来た。
「帰ったで?なんやぶつぶつ言うて…」
「…あぁ…」
せっかく寝かせたのに村上はけだるそうに起き上がり隣に座った横山を潤んだ瞳で見上げる。
「…俺が頼んでん…」
酔っ払いの言葉とは思えないはっきりした口調で村上は告げた。
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