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昼休みの屋上に『いかにも』という今時珍しい姿の不良が寝そべっていた。
金髪で色白、一見するとハーフかと思わされる美しさ。だが、言葉遣いは汚かった。
「ったく、あのアホ何処まで焼きそばパン買いに行っとんねや!」
空腹の不良、横山侯隆は上半身を起こして階下に続く扉を睨んだ。するとタイミングよくバーンと開き焼きそばパンを買いに行かせていた男が垂れ目を更に垂らして笑顔でやってきた。
「ごめんなー遅くなってもうて…ほな、食べよか?」
ごそごそと紙袋からタッパーを取り出し横山に渡して来た。
「?なんやねん…コレ」
若干、生暖かいタッパーとパシリにしていた男、村上信五を交互に見つめる。
「なんやねん…って焼きそばパンやけど?」
自分の分の弁当を斜め前に広げて当たり前のコトのように言ってくる。
「や、コレ買うて来たヤツちゃうやんな?温いし…購買のより美味そうな匂いすんねんけど…」
「せやろー?俺作ってんもん!はよ食べてぇや?昼休み無くなるでー」
ちゃっかり食べ始めている村上を見て小さく溜め息。
怒るのも馬鹿らしくなったわ…と、独り言を言いながら噛り付こうとした時。
扉がまたもやバーンと開いて黒猫のようなちっこいのが出て来た。
「ひーなー!オレのんはー?」
村上に向かって突進して来た。
「ちょ、すばっ危ないって…」
何とか弁当を死守しちっこいのを受け止めた村上。
なんだか面倒なコトになりそうや…。
そう思い急いで焼きそばパンを頬張る横山。
それを険しい顔で睨むすばると呼ばれた男。
そんな二人に気付いているのかいないのかマイペースに弁当を食べる村上信五。
そんな高校生達のお話。
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