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加藤は今、何をしているのだろう、とふと思った。
携帯電話が鳴らないから、きっと立夏が外に出ていることを承知しているのだろうけれど。
寂しくないのかな、と勝手に心配していた。
ベッドに一緒に潜り込み、珍しく布団をきちんと被って、立夏は時折体を捩りながら目を瞑っていた。
とにかく暑がりだった立夏は、あの革張りのソファに眠るときも、あまり毛布を掛けない。
料理ができないのも、それが影響しているように思えた。湯気をかぶりたがらないほどなのだ。火の傍にいることなんて嫌いに決まっている。
慣れない狭さと暑さで、私はなかなか寝つけなかった。
外は雪で白く染まっているはずなのに、この部屋だって、暖房をけちっているから寒いはずなのに。
どうして立夏が増えただけで、こんなに暑いんだろうとぼんやり思っていたら、彼女がそっと目を開けて、殆ど吐息でできた声で私に訊いた。
「ねえ。加藤さんのこと、好き?」
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