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あすかは雑貨屋でかわいい光物をすぐに買いたがる。
ほとんどが、飾り物なんだけど、機嫌を損ねたと思ったらそこに連れて行くのが一番早い…ある意味、気が楽。
仕事中に余計な気を使わなくて済むから、結構やりやすい。
上機嫌になった あすかをよそに、私たちは兄の話を続けた。
そこに、ロイが来た。
私たちは声のする方に向いた。
「おお、やってるな!どっちが勝ってるんだ?」
あすかがロイの顔を眺めながら…
「もちろん!」
「葉月か?」
「あたり~」
「そうなんだよ。なんで葉月こんなに強いんだよ、ポーカー」
天を仰ぐキルトにロイは言った。
「小さい頃から強かったぞ?仲間がほとんど、やられっぱなしだったからな」
「そうなのか?」
「ああ。キルト、その辺にしておかないとスッカラカンになるぞ!まぁ、時間はたっぷりあるがな。ははは。俺は連れの所に行ってくる。出来るだけ明日に備えて寝ろよ!いい仕事が出来ねぇぞ!じゃあ、おやすみ」
「分かった」
「は~い!」
彼はそう言って手を振りながら外へ出て行った。
それから、しばらくはゲームを続けたが、キルトがギブアップをした。
「だめだ、勝てねぇ。これくらいで勘弁してくれ」
「分かった。久しぶりに兄さんの思い出話も出来たし、良かった」
「そっか。これからはちょくちょく顔を出すよ。ここにいるって分かったしな」
「ああ」
「そいじゃ、寝ますか?」
ニカッと笑った彼にあすかが聞く。
「キルトは、明日からどうするの?」
「そうだな~もうちょい、ここに居るわ。街を見て回りたいし、次の獲物の情報も仕入れないといけないからな。心配すんな、宿代はちゃんと払うから」
「毎度あり~」
ロイの変わりに、私の隣でゲームの行く末を見守っていたあすかが、答えた。
「それじゃ!」
「ああ」
結局、ポーカーはずっと私の勝ちで終わった。
私とあすかは自分達の部屋に帰って、ベッドに横になった。
しかし、私は寝付けなかった。
懐かしい思い出話だった半面、兄の事を思い出し過ぎた。
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