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「葉月、もう、寝た?」
「寝てないよ」
「お兄さんの事、思い出していた?」
「うん?まぁね」
背中越しにあすかが、話をしてきた。
「葉月が銃を持たないのは、お兄さんの事があるから?」
「それもあるけど、兄さんが言っていたんだ。この稼業は人を殺す稼業じゃない。みんなは持っているが俺は持たない。ナイフも飛ばせば、立派に人を殺す道具だからなって」
「そう…」
「私もそう思うから銃は持たない。でも、兄さんを殺したあいつ、ダークに会ったらどうなるか…」
私は兄さんを撃ったあの顔を思い出すだけで、怒りが治まらなく。
掛けている布団の端を思い切り握りしめ、感情が爆発するのを抑えていた。
「そうだよね。私の家族は檻の中だから死んだわけじゃないけど、私が葉月と同じ立場だったら、きっと見つけて殺している」
「あいつ…キルトはどう思ったんだろう。慕っていた兄さんが殺されたって知って…」
「そりゃぁ、間違いなくショックだったと思うよ。風の噂で聞いていただけだから確かじゃなかっただろうし…でも、噂じゃなく本当だったわけだからね。キルトは、銃の腕が立つみたいだから相手を見つけたら殺(や)るんじゃないかな」
「そうだな」
「でも、その時はその時だよ」
「なるようにしかならない…か」
「そういうことだよ」
それから しばらく話はしたものの私達はお互い、いつの間にか眠っていた。
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