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それからは、彼の独壇場で今まで起こった数々の出来事を事細かく話をしてくれた。
私達は『女神の涙』という宝石が、とてつもなく大きな力を持っている事を確信していた。
きっと商人たちはこうして彼の話を聞き、旅の道中でこの噂を話して回っているに違いない。
だから、この町は賑やかなのだろう。
「そうだ。話ばかりをしていても仕方ありません。実物をお見せしましょう」
「本当ですか?」
村長のその言葉を待っていたかのようにあすかが勢いよく椅子から立った。
私達は荷物をすべて持ち応接室を出た。
あすかは村長と私の前を歩く。
私は二人の後ろで、顔こそ笑顔であるものの頭の中では、この屋敷の見取り図書きに入っていた。
侵入経路、間取り、脱出経路…そして宝石のセキュリティ…一つ一つを確実にクリアしていかなければならない。
一階には、食堂・キッチン・執務室・浴室などがあった。
そして二階へ。
階段を上がって広い廊下に出た。
長い通路を歩きながら来客用の部屋・村長らの寝室、応接室などが並んでいる。
そして階段を上がって来ても一目 見ただけではそこに廊下の続きがあるように見えない一角が設けてあり、そこを曲がると奥に部屋が一つあった。
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