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今の私のパートナーは、隣で頬をぷっくりと膨らませているあすか。
髪はブラウンのセミロングで大きなグリーンの瞳を持つ、お人形みたいなかわいい女の子。
彼女とは、一人で盗みをしていた時に寄った街で出会った。
家族がみんな盗み屋の仕事をしていたけれど、ちょっとした失敗で家族は保安官に拘束。
一人だけ残され、途方に暮れていた彼女の前を通りかかった。
私自身一人になる辛さが分かるだけに、「いい街を知っている」と軽く声をかけたら着いてきた。
丁度、私も、前のパートナーが仕事でしくじった為に獲物を逃してしまい、一人で稼ごうとしていた時だった。
彼女が街に着いてきて、一緒に仕事をしたいと言っても気にならなかった。
盗みの腕は家族に鍛えられていたから、結構良かったが、仕入れの腕は半人前。
磨く意味も込めて、今は仕入れを彼女に任せている。
「怒るなよ」
膨れている彼女を横目にいう。
「怒ってないよ。そうだ、ちょっと市場(いちば)に買い出しに行って来るよ」
「ヘイヘイ。頼みます」
あすかに手を振って、元来た道を帰る。
すれ違う奴はみな、顔の知れた仲間。
ここを拠点にしている連中ばかりで、家族みたいなものだ。
そして、私の大切な場所。
でも、一番大切なのは…やっぱり…
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