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銃弾をかすめた足は痛く、歩きづらかったが何とか出口まで辿りつけた。
「お、おい!なんなんだよ。あいつら…」
「だから、言っただろ?銃を撃つな!って」
「はぁ?」
「銃を持つ者に、ろくな奴はいない。ロイの方針なんだ。以前、銃を乱射しながら街の中に来た奴は、二度と来なくなったよ」
「…」
「当然だよね」
私は、ニッコリ笑って目の前の扉を開けた。
カラ~ン。
そこには、銃を持った街中のロイの仲間が出口を囲むようにして、中に銃を向けていた。
彼の合図で、街の同業者がこの宿場を囲むようになっているんだ。
ここは、私たちの大切な情報交換場所。
そこを荒らされたくないというロイの考えからだ。
彼自身、銃を嫌っているからっていうのもあるけれど、よっぽどの事がない限りこんなことにはならない。
が、今日は違ったみたいだ。
「葉月!大丈夫か?」
「大丈夫。掠っただけだから」
「おい、侵入者。銃を持った手を頭の上に組んで出て来い」
ロイの威圧的な言葉が宿場の中に向けられた。
出口は一つだけ。
壁をぶち壊して逃げる事も出来るけど、促されたら出てこない奴はいない。
よっぽどバカ出なければ…
ゆっくりと銃を乱射していた相手が言われた通り頭の上に手を組んで出てきた。
出口まで来ると、跪かされた。
「おい。何をしに ここに来た?」
「別に、何も」
「何もないのに二階から来るのか?」
「仕方ないだろ。この街には始めてくるんだからよ」
「ほう…で?誰だ?」
「俺はキルト。あんた達と同業者だよ。噂のビクターっていうのがどんな街なのか思ってね。情報収集に来たんだよ」
「それだけ?」
私は、キルトという男に威圧的に問いかけてみた。
「おい、あんた!どういうことだ!」
「二階から侵入なんて普通はしないでしょ?ちゃんと街の入り口から入ればいいだけだし」
「つい、知らない所に行くと屋根に登っちまうんだよ。癖で!」
「…」
私は無言で彼を見る。
キルトと言う男は、しびれを切らして叫んだ。
「本当だよ!それより、銃を下ろしてくれねぇか?」
「何もしないという保証はない!」
私は跪かされたキルトを見下ろしながら冷たく言い放った。
彼は、持っていた銃を差し出し叫んだ。
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