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「シュン・・・」
と空を裂き一本の矢が麻理亜に迫る。
「・・・この猿ッ、中々賢いわね。
だけど、これならどうかしら?」
自分へ迫り来る一本の矢は、麻理亜の意識を矢へ向ける為の釣りであり、その回避先の隙を射ぬくように、あと四本の矢を番えているのがその事実を何より裏付けていた。
麻理亜は意識を集中させ、迫り来る一本の矢の先端へ向け弾き金を引いた。
乾いた炸裂音と共に吐き出された弾丸は、迫り来る矢の先端に直撃し、リス猿の目論みは潰える事となった。
「嘘ッ・・・!」
「武器を捨てなさいッ!」
接近した状態で銃と弓矢を突き付け合う中、二人はふっと思い出したように。
「あれッ?
もしかしてどっかで会ったよね?」
「・・・喋る猿・・・確かにどこかで・・・」
と語り合う二人には、先程までの敵意は消えていた。
「こらぁッ、俺は猿じゃない!
ビスだーッ」
悔しそうに両腕をブンブン振り回しながら、自分をビスと呼ぶリス猿は麻理亜をキッと一睨みしている。
「あッ・・・思い出したわ。
確か旅を続けているミオって子達と会った時か・・・」
「そうそう。
俺はお前の名前はバッチリ覚えてるぜッ!
マリアだろ?」
やや得意気な表情を浮かべながらビスは、地面へペタリと腰を下ろした。
麻理亜はふっと苦笑を浮かべつつ、タグカスタムを腰のホルスターへと戻した。
「覚えててくれて、ありがとう。
多分、今回も異次元に飛ばされたみたいだけど・・・
ここもまた、あなた達の世界なのかしら?」
同じく麻理亜も腰を下ろしつつビスに尋ねた。
「修業をしてたんだ。
最初は・・・俺のフォルテマ(武器)と意識を集中し過ぎて、Tテストの時みたいな感じかな?
って思ってたんだ。
最初はマリアが倒すべき敵と思ってたけどね」
「・・・私も任務の最中に急にここに飛ばされて・・・
場所が場所だけに、あなたが魔物か何かと思ってたわ」
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