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「お互いを倒すべき怪物と思ってた訳かぁ~。
でも、どうやらここは俺の世界では無いな・・・」
ビスは回りを見渡しながら、麻理亜に答えた。
「そう・・・
でも、あなたが修業をしているとは驚きだったけど。
強くなった様に思えたわ」
麻理亜は優しい笑顔をビスに向けている。
その笑顔は、先程の冷酷さとは掛け離れた穏やかさに包まれていた。
「そ・・・そんな顔見せたって。
俺はミオ一筋だからなッ!」
麻理亜は笑顔で頷きつつ
「ふふッ・・・
私も恋人居るからね」
「な・・・なんだって?
前会った時は任務に追われて、それどころじゃ無いみたいな事言ってたよな?
なッ?」
「その任務の最中に出会ったのよ。
でも、守りたい者が居ると・・・
人はどこまでも強くなれるみたいだわ。
猿も同じだと思うけど」
麻理亜はビスにウインクしつつ告げた。
「猿じゃ無いぞッ!
・・・・・・でもマリアの言う様に、俺も守りたい者の為に強くなりたい」
ビスは、守りたい者へと想いを馳せる様に、血の様に紅い空を見上げながら呟いた。
「そうね。
それには、まずここを出なければ。
今のところは、手懸かりはあの朽ち果てた神殿しか無いけど、行ってみるしか無いわね」
麻理亜はビスに告げると、ゆっくりと地面から立ち上がった。
「おっし、行ってみよう。
早く皆の元に戻らなきゃだし」
「ええ・・・
じゃあ行きましょうか」
二人はゆっくりとした足取りで、神殿内へと歩き出した。
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