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有り得ない空想の様なシステムだが、このシステムは、日本のゲーム会社である、《X-VISION》が開発した《ゆめにっき》というソフトのデータを盗用し、改良・発展を繰り返した後、独自の進化を遂げたとされる。
試験段階であるDBSが実用化されれば、環境に優しく、不要な人間だけを死体も残さずに、綺麗さっぱり消し去る事が出来る事は、今自身が身を持って体験したのである。
そして・・・
再びルサリィと名乗った麻理亜が追う敵。
WISE・31なら、このDBSを兵器に転用し、使用する事は間違い無い事でもあった。
「このまま、ここに留まる訳にはいかない。
何とか帰る方法を探さなければ」
生物の気配の無い、白い大地を麻理亜は出口を探し歩き続ける。
やがて麻理亜は、朽ち果てた神殿の様な場所へと辿り着いた。
「神殿?
ここに手懸かりがあればいいんだけど・・・」
神殿の屋根を支えるはずであった円柱は半分以上は折れ、その屋根も申し訳無い程度にしか残っておらず、手懸かりがあるかどうか不明なまま、麻理亜は神殿の階段に一歩足を踏み出した。
その時。
「!?」
無音に近い世界に空を切り裂く音と、微かな殺気が背後から迫るのを感じた麻理亜は、その殺気の線上から身体を外し、殺気が向かう背後へ一瞬で向き直ると共に弾き金を引いた。
「パパパパパァーンッ」
とサブレッサーを外した銃口から45口径弾が断続的に吐き出されると共に、空薬莢が左右のタグカスタムから排出される。
麻理亜の火線から逃れる様に、空中へ飛び上がる小さな影が一つ。
「敵ッ?」
麻理亜が呟く間もなく、その小さな影は、またも空を切る殺気を放った。
麻理亜は横に転がりながら、その殺気をかわし、一瞬後に
「ドス・ドス・ドス・・・」
と鋭い音と共に、三本の矢が地面へと突き刺さっていた。
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