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「ありゃ・・・外れちゃった?
だけど今度は当てるッ」
と呟く弓矢を持つ小さな影はリス猿であった。
人語を解するリス猿は再び弓の弦を引き、麻理亜へ向かい今度は5本の矢を放った。
「・・・喋る猿・・・!?」
麻理亜は驚きながらも、自分へ迫る矢をかわしながら同時に弾き金を引く。
「うわッ・・・ちょッ攻撃が激し過ぎるって」
リス猿は自分の移動先をも見透かした様な精密射撃を必死でかわしている。
「シュン・・・」
「ひゃッ!」
と自分の頭すれすれを凄まじい勢いで弾丸が飛んで行き、頭の毛を何本か掠めとっていった。
「ああッ!何するんだ、コノヤロー。
俺様のナイスな髪型を崩しやがって」
怒り心頭のリス猿が怒気を撒き散らしながら、容赦無く弾丸の雨が飛来する方向を見ると、銃撃の主は両手に銃を構えたまま、弾切れしたかの様に、それ以上の弾丸を吐き出す事は無かった。
「弾切れか?
チャンスッ、チャンスー」
リス猿は弓矢の狙いが外れ無いように、接近して射抜く様に猛然と走り出した。
麻理亜はこちらへ弓を構えながら接近して来るリス猿に動じる事無く、両手にホールドオープンした銃を構えたまま、タグカスタムのグリップに付いているマガジン排出のボタンを押した。
両手のタグカスタムからマガジンが排出され、空のマガジンが地面へ落下して行く。
「これで終わりだぜッ」
と接近してくるリス猿の声が辺りに響く中。
麻理亜の背中に装着されている翼の様な装備の中から、細いアームが現れて、コンパクトに三つ折りにされていたアームは、一瞬で、麻理亜の両腕の下に背中から伸び切ったように展開され、そのアームの先端には新しいマガジンが握られていた。
麻理亜は両腕のタグカスタムの照準を、接近してくるリス猿へ定めたまま、銃を離す事無く、新しいマガジン交換を終えた。
「カチャッ」
ホールドオープンされた銃が、マガジンが交換された事で通常の状態へと戻った。
それは薬室内へ新しい弾が送られ、弾き金を引けばいつでも発砲出来るという事である。
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