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「……怒ってない?」
「なんであたしが怒るのよ」
「だって」
なんだかツンツンしてるし、という言葉は口から出なかった。
気まずい沈黙が流れる。
「星」
ネリアがぽつりと呟いた。
「え?」
「星、きれいだね」
「うん」
答えつつも、意識はどうしてか隣のネリアにいってしまう。ちらりと見ると、ネリアは空を見上げていた。
「あたしたち以外のみんなも、この大陸の人とか、もっと遠くの人も、この空を見てるのかな」
「かも、しれないね。こんなキレイに星が見えてるし、みんな夜更かしして見てるかも」
「そうだね」
ネリアはなぜかそわそわしていた。落ち着きなく手を動かしている。目が合うとすぐにそっぽを向いてしまった。
「どうしたの、今日」
「え、え?」
「いや、なんか、いつものネリアじゃないから」
「別に、そんなことないけど」
「……そう?」
「そうよっ」
言ったっきり、ネリアは顔を背けてしまった。かける言葉が見つからなかった。
「あのねっ」
急にネリアがこちらを振り向いた。今日初めて見るその顔は、見たこともないくらいに真っ赤になっていた。
その真剣な目に見据えられ、僕はなぜかドキリとした。
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