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「どういうことだ、意味がわからん」
「彼女は諦めきれなかったんだと思うわ。
でも、先生は頑として受け入れないことは目に見えている。だから彼女は、誰にも邪魔されないように、院長先生達よりも先に孤児院を出て先回りをした」
「先回り……?」
まてよ、俺にもわかりかけてきた。
シスカがナナに向き直る。
「朝起きた時にはもうリリィは居なかったのよね?」
「あ、はい、そうです。昨日寝た時はいたんですけど」
「そう。ということは、リリィが寝静まってから部屋を抜け出したのね。私、倉庫を調べてたんだけど、ランプが一つなくなってたわ」
……なるほど。それだとリリィは相当な無茶をやったことになるが、辻褄は合う。
「え、どういう、ことですか?」
飲み込めていない様子のナナに、シスカが噛み砕いて説明する。
「そのまま追いかけて行っても、追い返されてしまうだけ。だから彼女は、夜のうちに孤児院を出て、先生に会っても追い返されないくらい先まで行って、彼らを待ち伏せしてたのよ」
ナナの目が驚きに見開かれる。
「え、それって……そんな、無茶苦茶」
ナナの言うとおり。こんなの、普通なら考えつかない。
「でも、これってその……まだ、推測でしかないですよね」
これもその通り。……相棒はそこまで考えているのだろうか。
「今はね。でも、証拠ならそろそろ『届く』と思うわ」
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