7章・運命の日、真実の時

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「で……どうなんだ。ついて行けそう、なのか、そこまでやって」 ケインの口ぶりは、あるいはリリィの行動を肯定しているように聞こえる。実際、彼もリリィと同じで、査問会に行って見届けたかったのだろう。 「うん、なんとかついて行くことは認めてもらえた。というか、院長先生がすんなりオーケーしてくれたんだけど。ひょっとしたら、先生は最初から全部分かってたのかもね」 そう言って薄く笑う。 「……あ、そろそろ切れるかも。私、これから何かあったら、そのつどこれを通して連絡します。今、あと少しで町に入るところ。入ったら馬を借りて、ヴェストリアに向かうらしいです」 「……って、馬乗れんのかお前」 ふと思ったことが口から滑り出てしまった。リリィは痛い所を突かれたように苦笑する。 「えー……相乗り、かな? とにかく、ここまで来てしまったので、私もやれるだけのことはやります。みんな、私の勝手に巻き込んじゃって本当にごめん。私、」 フォン……という独特の音と同時、彼女がセリフを言い終わらぬうちに、像は形を失って霧散してしまった。
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