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「そう、なんだ。……いや、子供の扱いとか家事とかもさらっとこなすし、孤児院の、なんていうか、空気にも抵抗ないみたいだったし。普通の人じゃまず無理なことだ。だから、もしかしたらって俺も思ってた」
「え、そう、……かな。ドジ踏んでばっかりだけど」
照れたようにナナの声がすぼむ。
「そんなことはない。俺は凄くしっかりしてると思うし、みんな、内ではあんたのことを凄く評価してる。だからすぐに馴染めたんじゃないか」
ナナの吐息と沈黙。照れきって俯いてしまったあいつの姿が目に浮かぶ。
「……ごめん、ちょっと暑苦しかった。……あんた、なんていうか、」
似てる。うちの妹に。
ナナの小さく息を飲む音。
聞いてるだけの俺も一瞬、ひやりとしたものが背筋を伝う。
「え、と……そう、ですか?」
「ああ。言葉だとうまく言えないけど、雰囲気みたいなものが。だから、つい、ね。ごめん」
「や、そんな……」
ナナはしどろもどろになっている。
「……仲、いいんですね。妹さんと」
「あー……うん、そうだね。あいつもよくひっついてくるし、なんだかんだで、俺の方もあいつに依存してるのかもしれない。この年だし、そろそろお互いに自立しなきゃいけないのに」
「そんなことないと思う。兄妹仲が良いのって、素敵なことよ。……あのね」
少し、間が空く。
ナナが言葉を探しているのだろう。
「わ……ううん、あなたの妹は、とてもケインのことが好きで、一緒にいられる時間を大事にしてると思う。甘えてしまっている自覚もあって、それでも甘えさせてくれるケインに感謝してると思う。……だから、」
俺の手首がくいと引っ張られる。
隣で同じく身をかがめて話に聞き入っていたシスカが手首を握り、目で何かを合図していた。
わかりかねているうちに、シスカはすうっと立ち上がり、手首を掴まれたままの俺も結果的に立つことになった。
「退散するわよ」
俺が聞こえるギリギリの声でそう囁くと、そのまますたすたと歩いて行ってしまった。
……これ以上聞くのは悪いということだろうか。一応の解釈を出し、俺も慌ててその後を追った。
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