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『……それができるとして、何のために人間になるの?』
お兄さんはよくぞ聞いてくれました、と勢いよく立ち上がる。なにがそんなに楽しいのか、その声は弾んでいた。
「あなたが、愛するご主人様の死を止めるんです!」
『――は?』
思わず呟く。あたしが彼の死を止める?
「ご主人様に生きていてほしいでしょ?自分のためにも死んでほしくないでしょ?だったらあなたが止めるんですよ。それには猫の姿じゃ無理だ。そこで僕があなたを人間に変えて、協力してあげるって話です」
『……聞きたいことがいくつかあるのだけど』
まず自称死神のお兄さんがその死を阻む手伝いをしていいのか。次になぜ勝手に話の筋ができあがっているのか。そして死を阻む役があたしである必要性はなんなのか。
「そんなの僕の気まぐれですよ」
決まってるでしょといわんばかりの口ぶりに、あたしは返す言葉を失って閉口する。
「毎日毎日退屈なんですよね、僕。だからなにか面白いことしたいなぁって。
で、思いついたんですけど、ペットが飼い主さまを救うって美談あるじゃないですか。それにちょっと条件加えて、既に決まった死の期日を覆せるのかどうか、見てみたくなって」
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