完璧な計算で作られた楽園で

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「ねぇ、あ~ちゃん」 「んー?」 かしゆかが仕事をしながら話しかけてきた。 「そっちの世界ってどんな世界?」 「んー、シティとは違ってもっとカラフルかなぁ。あと、季節があるんよ。ここは空に太陽があるだけじゃけど、雨が降ったり、雪が降ったり、ね」 「季節…?」 「春には桜が咲いて皆でお花見したり…あ、はっさくがすごく美味しいよ、春は。夏は暑いから海とかで遊んだりね。秋は見上げると空がたかーくなって、だんだん寒くなる。冬は目が覚めても眠いんよ、私は冬にホットココア飲むのが好き!」 「季節ってすごいんだね」 「うん、ほうじゃよ~」 「行ってみたいな、あ~ちゃんが住んでる世界」 「……」 仕事中は滅多に口を開かないかしゆかが今日はおしゃべりじゃ。 「大丈夫?今日のかしゆかなんか変よ?」 「そんなことないよ」 「…そっ…か…」 それからかしゆかの仕事が終わるまで沈黙が続いた。
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