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司令塔までお互い無言だった。
いざ、再び白い壁の前に来てみると、あの時のように鼓動が激しくなる。
「あれ?こんな門あったっけ?」
「この前新しくできたゲートだよ」
「へぇ~…」
すると突然ゲートが開いた。
「入れってことかな?行きましょ、あ~ちゃん」
「う、うん」
こんな時になぜだかすごく冷静なかしゆか。
感情を殺してるのか、もともと感情がないのか…。
いや、かしゆかには感情があるんだった。
前に司令塔に侵入したときは、階段で駆け上がったけど、今回はエレベーターみたいなのに乗って一気に最上階まで上がった。
「あ、久しぶりだね。…こちらは、初めまして…かな」
エレベーターの扉が開いた瞬間、高級そうな透明の椅子に座ったまま、のっちと呼ばれる人が怪しげに微笑んでいた。
「…どーも」
私が愛想の欠片もないような挨拶を済ませると、のっちは小さくため息をついた。
「初めまして、のっちさん。私はP19881223の樫野有香。かしゆかです」
「あ~、実験用のかしゆかね。どーも」
さっきの私の真似をしてきた。
うわー、ニヤリと笑ってるし。
嫌な感じー。
「わざわざ司令塔までご苦労様。立派な人間が二人も来てくれるとは」
嫌味ったらしい。
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