37人が本棚に入れています
本棚に追加
「完成はしたが、まだ不安定で危険な状態だから、コンピューター室には絶対に入らないように」
「はーい」
小さい頃、コンピューター室に入ろうとして何度もパパに怒鳴られた苦い経験があるから、高校生の私はさすがにもうそんな自殺行為はしない。
「ごちそうさまでした」
食器を片付けて、さっさと自分の部屋に向かった。
家のいちばん奥にある部屋が、コンピューター室。
一日中、この部屋からは機械音が聞こえてくる。
両親の寝室と私の部屋からはだいぶ離れているから、騒音にはならないけど。
何度も侵入しようと試みたが、一度も成功したことがないため、部屋の中がどうなっているのかは知らない。
当然ママも知らない。
つまりパパだけが知る世界。
家族も住んでいる家にそんな大切な部屋を設けるのも、すごくおかしな話だけど、パパはかなりの変人なので仕方ない。
そんなパパの娘である私もいくらかその異常さを受け継いでるんだろうなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!