絶対故障だ

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「かしゆか、どうだった?初めてのダンスは」 「うーん、運動はあんまり得意じゃないんだけど、ダンスは他の運動より出来るかも!」 満面の笑みで嬉しそうにそう言ったかしゆか。私まで嬉しくなる。 「ていうかのっちダンス上手すぎじゃろ~」 「だから言ったでしょ。計算通りに体を動かせば何てことはないって」 「あーあ、またそんなこと言っちゃってー。単純に楽しんで踊ればいいと思うんじゃけどねぇ」 のっちの歩くスピードが少し遅くなった、けど、すぐに同じ速さを取り戻した。 司令塔に戻り、のっちの部屋へとエレベーターに乗る。 「ねぇねぇ、のっちの部屋以外の階は何があるの?」 「確かに。私も知らないや」 かしゆかも知らない未知の司令塔の中身。のっちに会いにいく度に他の階を覗きたい衝動に駆られる。デリートされるのが怖いから本当に覗いたことはないけれど。 「数えきれないほどの人間の感情のサンプルがあるだけ。人間の感情の研究がもっと進んだら、いつかアンドロイドに人間の感情を売ろうかとも思ってるんだけど…まだまだ先の話だね」 「機械がたくさんあるとかじゃないんだ」 流石司令塔。私の常識を超えすぎて半分意味がわからん。 「あのさ、のっち。人間の感情って形にはならんよ?どうやって売るつもり?」 こんな私のちょっと意地悪な質問にも、のっちは表情ひとつ変えずに“大丈夫”とだけ返してきた。 のっちのその自信はどこから出てくるんじゃろうか。
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