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家に着くと、父が玄関の所で仁王立ちをして待っていた。
「ん」
俺の姿に気付くと、父は手を出してくる。
「はい、ジュース」
「ああ、ご苦労様」
父は、俺が差し出したジュースを受け取って嬉しそうな笑みを浮かべる。
全く、これじゃあどっちが親で子供なのかわからない。
父にもそろそろ、働いてほしいところだがハローワークの本を見せようとすると敏感に感じ取って逃げてしまう。
歯医者へ行く子供かっ!という話だ。
「父さん、働く気はないの?」
「ん?」
ジュースの蓋を開けた父が、待てを言われた犬のような表情で俺を見た。
「仕事」
「したいんだがなあ・・する仕事がないというか・・その・・」
父は苦笑いを浮かべ頭をかいた。
遠目からは、父が本当に働きたくても働けない失業者のように映るかもしれない。
だが、それは間違っている。
俺の父は、失業者と言うかニートである。
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