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「すまない・・・」
父は、俺に深々と頭を下げた。
「と、父さん!?」
「わかっているさ、死んでしまった母さんに約束もした・・・」
「父さん、頭を上げてくれ・・・そんな、俺は」
なおも父は頭を下げたまま、肩を震わせ嗚咽を漏らす。
「なんちゃって!」
急に父が、顔を上げてピースを手で作り舌を出して笑ってきた。
「引っかかった?」
・・・たちの悪い冗談だ。
俺は、父の手からジュースを取り上げてそのまま家の中に入った。
「おい、ジュース返せ!」
父が追いかけてきて、俺の手からジュースを奪い取った。
どこまで、ジュース好きなんだよ。
これくらいの執着心を仕事に発揮してくれたら。
と、お母さんみたいなことを考えつつ、俺は二階にある自分の部屋に上がった。
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