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「えっと・・幸中・・だったけ?」
「そうだよ、幸中 魔来。調べ物が好きな物知りの女の子だよ」
さらっと、自己紹介されてしまった。
ここは、俺も答えた方がいいのか?
声だけしか聞こえないからどこにしゃべればいいのかわからないが。
「ああ、っと俺はゴンベエ」
我ながら、ネーミングセンスのかけらもない偽名だった。
「ゴンベエっていうの?昔の人みたい」
全国のゴンベエさんに謝るべき発言だぞ・・・
思ったが口に出さず。
「いや、俺の名前は・・・親に見ず知らずの人に教えてはいけませんって」
「高校生にそんなこという?小さいときに言われたんだとして、今それを言う?」
かなりの正論・・・
だが、ここで黙ってしまったら本当に俺の名前を言わなければいけなくなる。
俺は、人とのコミュニケーションが苦手だ。
臆病でマイナス思考・・とても人との会話が成立するわけもなく。
学校では、変な奴というレッテルをはられ誰も声をかけてくれない。
だから、俺を名前で呼ぶという行為はなんとなく不愉快だ。
今から虐めますよ、といわれている感じ。
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