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学生の俺は、確かに友達に話しかけられるという状況も考えられたがこの声は違う。
何がちがうって、俺にこんなに透き通った声色の奴はいない。
じゃあ、後ろにいる人物は誰?
不審者?
そう結論に至った俺は一目散に駆け出した。
田んぼ道がぬかるんでいて、たまに足をとられそうになるが今はそれを気にしている場合じゃない。
不審者、捕まる、人質、死
という方程式が頭で回り始める。
死ぬまではいかないかも知れないが、ただではすまないだろう。
「ちょっと・・」
田舎道も中間にさしかかったところまで走ってきたが、そこでまた同じ声が聞こえて来た。
つけられていた?
俺の、元陸上部のスピードについてこれるなんて・・・
「あなたは、誰でしょうか?」
俺は振り向かずに、一定のスピードで歩きながら後ろに声をかけた。
不気味なことに、背後から気配という気配は全くしなかった。
「やっぱり、あなた聞こえるのね」
よく聞いてみると、それは女性の声のような声色をしていた。
最も、後ろを見ていないのでようなということしかわからないが。
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