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「あなた聞こえるのね?」
女性の声が聞き返してきた。
少しうれしそうに、声が弾んでいるのがわかる。
「何がですか?」
「私の声よ」
会話が通じた・・・
通じてしまった、俺の幻想出会ってくれと思っていたがそうではないらしい。
「声ですか?聞こえてますよ」
嘘をつこうか迷ったが、俺は本当のことを言う。
「良かった、聞こえてないのかと思ってしまったわ」
「それは、良かったですね…」
俺としては、このまま背後の人物がいなくなってくれることを願う。
「ねえ…」
「何ですか?」
「どうしてこっちを向いてくれないの?」
「向いていいんですか?」
「え?」
「後ろを向いた瞬間、み〓た〓なぁ!って・・・」
「それ何処のホラー映画?君、映画の見過ぎじゃない?」
・・・痛いところをつかれてしまった。
確かに、日頃映画を1日に3時間以上見ているが・・・
それを、今の一瞬で看破されてしまうとは。
どうやら背後の人物はただ者ではなさそうだ。
少しずつ、歩幅を大きくして速くあるいてみる。
すると、微妙だが声もついてきているような感じがした。
歩くのではなくて、こうスケートすると言ったような感じというのが近い感覚だった。
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