異常発生

7/18
前へ
/46ページ
次へ
「やっと見てくれた!」 女の子は興奮したように、俺の手を両手で握って俺の顔をまじまじと見た。 止めてくれ、俺は異性に触れたこともない超奥手野郎だ。 近い! それしか言いようのない距離に女の子はいる。 「あの・・あなたはどなた様でしょうか?」 「私?私はねえ〓科学者なんだよ!」 自信たっぷりに胸を張って女の子は鼻を鳴らす。 「そう言う事ではなくてですね?」 「ならどういうこと?」 「あなたは、私に何のようなんですか?」 用が無ければ、見知らぬ人間が見知らぬ人間に声をかける事なんか起きない。 「用・・・確かにあなたに用はあるけど・・」 女の子は言いにくそうに、周囲を見回すと俺から一歩後ろに下がった。 「私の名前は、幸中 魔来!以後よろしく〓」 そういって幸中は俺が今来た道を全速力で走っていってしまった。 速い・・陸上部にでも入っているのかというほどのスピードだ。 元陸上部の俺が言うのだから間違いない。 それにしても、幸中 魔来・・・か。 一体、何をしに来たんだろう。 用があると言っていたから、ここでは話せないような内容なんだろうか。 いや、今は父のジュースを買うのが先か・・ 俺は、田舎道を歩き出した。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加