戦争

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戦況は疲弊していた。 すでに50年も続いている戦争だ。皆命ある人。疲れていない人がいるはずがない。 その上、地表温度が高すぎるせいで乱気流が頻繁に、かつ煩雑に発生するため、空中戦は行えない。そもそも飛ぶことすら不可能に近いのだから。 必然的に、戦場は陸上と海上に限られることになった。 しかも陸上戦は、銃撃戦ではなく白兵戦を強要されている。長すぎる戦争と物資の不足のせいで、弾を補充することすら不可能になったからだ。 海上戦もほぼ同じような状況の為、大した戦果も得られず、舞台は専ら陸上における白兵戦だった。 兵が疲れるのも当たり前だ。 誰もが、この無駄としか思えない戦争が一刻も早く終結を望んでいた。 しかし、続く。一度上がった戦火を消すのは容易ではない。その上、戦火を広げるのは簡単にできてしまう。 作るより消す方が難しいとは、自然の摂理に反している気すらしてくるが、故に人間が創りだしたものであるとも言えるのだろう。
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