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───目が覚めると、いつもと変わらない天井が見える。 くっきりとした目が天井を捉える反面、頭はまだボーっとしていた。 ついこの間まで頭の中でしていた雑音は聞こえない。雑音(かれら)は、完全に完璧に、記憶の中から消去されたようだ。 のそりとベッドの上で起き上がる。くしゃくしゃになった髪の毛も、まだボーっとする頭も無視してベッドから下りた。 寝ぼけた頭でも、ここが自室ということくらいは理解できる。 もっとも───十二畳の祝儀式になぜかプラス三畳ある部屋が、自室というのも何だか変な感じがする。 この旅館のように整えられた部屋で、一人でいるというのは何とも物寂しい。 ああ、勿論旅館のような部屋というのは不適切な表現だ。 この部屋は間違いなく。旅館の中にある部屋なのだから。 部屋は他にもいくつかあり、あと数人は寝泊まりが可能である。そんな旅館の部屋の一つを、独自の改造を加えて秘密基地にした後、自室へと進化させたのである。 トイレも浴室も別にあるが、その他は自分で用意した本棚やベッド、机などで飾っている。 部屋の正面にある大きな窓からは、街全体を見渡すことができる。
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