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──決まってる。
「……は」
「?」
──何を迷ってんだ、オレは?
可能性がどうした?
紬さんにも言われたじゃないか。
オレにできることは、ただ逃げないこと。
ならば精々虚勢をはってやろうと、決めたじゃないか。
「二回死んだ? それがどうした?」
「ああぁ?」
怪訝に睨むヒズミに一歩踏み出し、萎縮しそうになる心を奮い立たせる。
「オレはここに──」
胸を叩き、天井を見上げ、何もかもを頭の中から投げ捨てるように、叫んだ。
「オレはここに立って、こうして生きてるぞ!」
怖くはない。
無謀だと笑われてもいい。
ただ、誰一人として逃げ出さずに戦った大切な仲間の場所へ、全てが終わった時に胸を張って帰りたい。
だから逃げない。
そして帰るんだ。
「オーケー。一人ブチ殺し確定だ。そんでお二人さんはどうする?」
唾を吐くようにヒズミが要さんとアインツに視界を移す。
答えたのは要さんだった。
「バカらしいこと聞いてんな。逃げるつもりは更々なかったが、生徒が逃げねぇんじゃ尚更逃げるわけにはいかねぇだろ」
即答だった。
続いてアインツも、邪悪に笑いながら答える。
「正直、小生はどちらでも構わん。しかし、主が是と言うのならば小生も是と言う他あるまいよ」
だがますます気に入った、とアインツは声高らかに笑った。
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