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「いい度胸だ。気に入ったが胸糞悪ぃ」
ヒズミは最大限まで背凭れにもたれ掛かり、憂鬱そうに椅子を揺らした。
「んな強がりがどっから出てくるのか是非ともお聞かせ願いたいもんだ。あ、テメェらお得意の心ってやつか?」
「知らねぇよ」
「そうかい。じゃあ消えな。まずはテメェからだ、カワゾエタクミ」
ヒズミは小さな渦を握り潰し、そして左手を半開きにさせた。
「あの左手には気を付けてください。掴まれたら何であろうと消されますから」
少し離れた場所の要さんに言い、同時にアインツにも手短に伝えておく。
要さんは軽く手を挙げることで応えた。
「あれだけ大見得を切ったことは称賛に値するが、何かしら策はあるのか?」
アインツは質問で応えた。
オレは少しだけ考え、しかし否定した。
「ない。悪いな、そんなのに付き合わせて」
「何を謝る?」
アインツは本当に分からないと、首を傾げた。
何て奴だと、オレは肩を竦めて苦笑した。
「相談は終わったんなら、戦闘再開といこうかぁ?」
「その前に、一つ聞かせろ」
一歩を踏み出し、構えもせず、無警戒にさらにもう一歩を踏む。
「ああ。言ってみな」
ピエロのような笑みを湛え、溢れんばかりの侮蔑を露にしながら、しかしやけにあっさりとヒズミは頷いた。
拍子抜けしながらも、オレは言った。
「飛鳥はどこだ?」
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