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「それを聞いてどうする? テメェは死ぬ。居場所なんざ聞いても辿り着けねぇ」
「死なねぇから聞いてんだ」
「は。下らねぇな」
「いいから答えろ。飛鳥はどこにいる?」
揺り椅子に座ったまま、ヒズミは奥の通路を右手の親指で指し示した。
「この先に地上に繋がる階段がある。そこから地上階に出ると魔神の研究施設とやらがあるんだが、今はそこにいるよ」
なげやりな口調ではあったが、何となく嘘ではない気がした。
首だけで後ろを振り返り、アインツと目を合わせる。
──隙ができたら行け。
自分にすら聞こえるか微妙な声だったが、アインツは目を伏せることで了承した。
「さぁて。いい加減トークショーは終わりだ。冗長な上に退屈だったことだし、いっちょ大いに暴れさせてもらうぜ?」
「好きにしろ」
ヒズミは背凭れを後ろ手で掴み、宙返りと同時に雑に揺り椅子を投げ付けた。
「んなもん!」
そんなものは当然のように問題にもならず、一太刀のもとに斬り捨てる。
揺り椅子は光の粒に分解されて消え、そしてそれを突破し、目と鼻の先にヒズミが現れた。
「っ!」
左手が鋭く伸びる。
剣はこれが最後。消されればもう生身の刀しか残らないため、下手に防御するわけにもいかない。
結果、オレは大袈裟なほどに大きく後退した。
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