第十一章─白い部屋─

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ヒズミは着地と同時にさらに床を蹴り、後退するオレを追い詰めていく。 「アインツ離れてろ!」 凄まじい早さで追い込まれていく中、叫んだ。 「川添!」 要さんが怒鳴り声が聞こえ、ヒズミからは一切目を離さぬままにさらに叫んだ。 「要さん、妹を!」 「っ!」 ハッキリと要さんの舌打ちが聞こえた。 しかし文句はなく、床を蹴る音が聞こえた。 「そうくると思ったぜ。易々と行けるとおもってんじゃねえぇぞ!」 クルリとヒズミは空中で体を反転させた。 「マテリアル・ワン!」 瞬間、夥しい光の矢がおぞましいほどの軍勢となり、通路へと向かう要さんとアインツを包囲し、襲う。 オレはすかさずヒズミの背中に斬りかかった。 「後ろから斬りつけるのは卑怯じゃあねぇか?」 しかしヒズミは素早く振り返り、その反動で右手をつきだした。 「速──!」 ギリギリで身を翻してかわすも、しかし反撃する暇はない。 いつの間にかヒズミの左手には剣があり、正面から狙いを定めていた。 「──!」 繰り出される稲妻のようなただの突き。 剣の腹で受け止めるも地から足が離れ、ヒズミの持つ剣が一気に伸びた。 全身が壁に叩きつけられ、その先はもうないと言うのに、それでもまだ剣は伸びようとする。 体が壁にめり込んでいき、ギシギシと体が悲鳴を上げ、食い縛る力で歯茎から血が吹き出し、口から溢れた。
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