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「はっは! いいねいいねえぇ! 食らいつくじゃねぇかよ!」
ヒズミは大袈裟なくらいに体を仰け反らせて爆笑し、剣を両手に握り直した。
「刺さってくれねぇのなら、せめて削ってやるよ!」
剣が一瞬だけ離れ、直ぐ様真一門に薙いできた。
「く……!」
壁から離れる時間も与えられず、強引に剣で防ぐがやはりヒズミの剣は止まらず、オレの体は壁を抉っていく。
「────!」
皮膚が剥がれ、肉を削がれ、血が線を引く。
瓦礫が刺さり、摩擦で焼かれ、全身が燃えているような錯覚に陥る。
このまま削られて、跡形もなくなってしまうのではないかとさえ思う。
とはいえ防御を怠れば両断されてしまう。
「ギャハハハハハハハ! おら、さっきまでの威勢はどうしたあぁ!」
次の壁に激突し、直角に体が進路を変更した。
尚も全身で壁を削る。
「あ──う──おおあ……!」
呻き声しか出せていない。
地獄のような痛みに麻痺すらしてきた。
剣を握る腕の感覚が薄くなっていく。
グイと、迫る刃との距離が一気に縮んだ。
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