第十一章─白い部屋─

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傾いたまま、薙がれる刃を側転するように跳び越え、かわす。 ヒズミの目が僅かに歪んだのを捉えつつ、さらに走る。 ──雑念なんざとっ払え。そんなものは邪魔にしかならない。 話なんざ、組伏せた後にいくらでもしてやればいい。 「ちっ!」 ヒズミの剣がオレを追い越し、元の長さに戻った。 それに遅れ、オレもそれに追い付く。 降り下ろす血染めの剣は赤い線を引き、一直線にヒズミに斬りかかる。 「──!」 しかし一瞬早くヒズミは剣を上げ、血染めの剣を受け止めた。 「っ──あああぁぁ!」 さらに咆哮し、ありったけの力を全て血染めの剣に注ぎ込む。 何かが軋む、鈍い音が小さく響いた。 「は……んなナマクラでこいつを砕こう……ってかあぁ?」 相も変わらぬ余裕の声で嘲笑し、ヒズミはオレを睨んだ。 「笑わせんな!」 ヒズミの白い剣が僅かに輝きを増したかと思うと、急に六つに枝分かれした。 「っ!」 それら全てが生きているように不規則に動き、オレに向かって伸びる。 急いで後方に跳躍し、襲いかかる六つの刃を叩き伏せた。 「……」 枝分かれしただけ力はそうはないらしく、さっきのように吹っ飛ばされるようなことはなかった。 だが、あれでは満足に打ち合うこともできない。
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