第十一章─白い部屋─

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「やられっぱなしってのも、ちと気に食わねぇことだしな」 「……はは」 何と返すべきか分からず、オレはただ苦笑するしかなかった。 全身が痛い。 動ける時間は、そう長くはなさそうである。 短いこの残された時間で、ヒズミの力を上回り、動きを封じる。 ──途方もないが、やるしかない。 「拓海様、体は」 「大丈夫だ。こんなんただの掠り傷だよ」 掠りというか削りなんだけど、まぁいいや、どっちでも。 「ふむ。ならば教師の方はどうだ?」 「オマケみてぇに聞くんじゃねぇ。んなのケガの内にも入るか」 要さんは鬱陶しそうに手をヒラヒラさせ、応えた。 「訳の分からぬ虚勢をよくはれる。嫌いではないが」 全くもって馬鹿馬鹿しい、とアインツは楽しそうに吐き捨てた。 台詞と態度が不釣り合いすぎる。 ヒズミはもはや何も言葉を放たず、一歩を踏み出した。 オレたちの間からも会話が消え去った。 「……」 言い知れぬどんよりとした気味の悪い緊張感に包まれ、ただただ何かが揃うのを待つ。 もう一歩、ヒズミは踏み出し、緩慢に距離を詰める。 一度ぐっと目を瞑り、そしてすぐに開く。 その時には、もう何かは揃っていた。 ──さらに一歩。 その音を合図に、一斉に飛び出した。
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