第十一章─白い部屋─

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「な──」 要さんとアインツが飛び退き、そしてオレはヒズミへと剣を叩きつけた。 小手先の技などかなぐり捨てて、ただ力任せに。 「──にぃ……!?」 ヒズミの剣に亀裂が走った。 しかしそれは破壊には至らず、一瞬で修復されてしまう。 ただ、ヒズミの顔から余裕の色が消えた。 「鬱陶……しいんだよ、カスがあぁ!」 薙ぎ払われ、オレは床を転がる。 血が吹き出し、床が真っ赤な線を引いていくのが見えた。 しかしそれはすぐに止まり、オレの体は上空へと放り出されていた。 「乗れ、川添!」 「!?」 拾い、放り投げていたのは要さんらしかった。 下を見ると、要さんが天之尾羽張に雷を纏わせ、それに乗るようにと示していた。 ──要さんが何をする気なのかを悟り、落下しながら体を回転させた。 「絞りカスの魔力、全部くれてやる。ビビんなよ」 「はい!」 要さんの剣の上に着地し、要さんを軸にギュルリと回転する。 「さぁ」 足元が凄まじい雷を放つ。 しかし痛くはない。熱くもない。 まるで雷そのものになったように、自然にその場にオレはいる。 「行って来い!」 発射された巨大な雷の奔流。 オレはそれと一体になり、全身に回していた魔力を全て血染めの剣へと注ぎ込んだ。
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