第十一章─白い部屋─

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ヒズミが何かを言った気がしたが、残念ながらその声は雷鳴に飲み込まれ、届かなかった。 「────!」 自分自身の咆哮ですら満足に聞き取れない始末だ。 世界が回転しているような気さえする。 その中で、ヒズミの姿だけを捉えて逃がさない。 切っ先をヒズミに向ける。 他に特別なことはせず、ただの体当たりのように突進した。 「────」 激突。 雷が、 風が、 刃が、 光が、 一瞬にして破裂する。 互いの剣が同時に木っ端微塵に砕け散り、オレとヒズミは反発する磁石のように、吹き飛んだ。 オレは床の上を転がり、ヒズミは驚愕を露にして宙を舞う。 「──小癪な!」 部屋が揺れる轟音の中、ヒズミは新たな光を左手に纏い、オレへと向けた。 「マテリア──」 「させぬ!」 不意にヒズミの真後ろにアインツが現れ、ヒズミの後頭部を鷲掴みにした。 「っだと……!」 こちらに意識を飛ばしすぎていたせいか完全に意表を突かれたらしく、そこから垂直に、アインツの手で落下する。 「──!」 ヒズミが無理に背後のアインツへと手を伸ばし、新たに作り出した刃を鳩尾へ突き立てた。 「──往生際の悪い……!」 苦悶の表情を浮かべ、口から血を吐き、それでもアインツは一切力を緩めず、 「大人しく、寝ていろ!」 ヒズミの顔面を床に叩きつけ、巨大なクレーターを作り上げた。
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