第十一章─白い部屋─

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それだけでは済まず、床、壁、天井、二つの通路にまで亀裂を走らせる。 舞い上がる土煙を突き破り、アインツはオレの側に着地した。 「無事か、拓海様?」 「お前こそ……それ」 アインツの鳩尾に刺さっている光の刃。 あまりに痛々しくて、見れたものではない。 しかしアインツはそれを抜き放ち、ゴミでも捨てるような気軽さで放り投げた。 「あの磔の後ではこの程度問題にもならん。回復にはまた遠ざかってしまったが」 「……そりゃ、結構」 何とか立ち上がろうと体に力を入れてみるが、しかしどうにもうまくいかない。 それどころか、体がピクリとも動かない。 仕方ないかとため息をつき、立ち上がることは諦める。 「おいしいとこ、お前に見事に持ってかれたよ」 「何を言う。拓海様と教師の力あってのものではないか」 「うわ。似合わねぇ」 「で、やったのか?」 いつの間にか要さんが側に来ており、土煙の巻き起こる中心地を睨みながら言った。 「死んではおらぬだろうよ。拓海様との制約もあるのでな」 人を殺すな、か。 アインツは少なくとも、ヒズミを人とみなしたということか。 何だか複雑な気分だった。
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