6151人が本棚に入れています
本棚に追加
「だがしばらくは動けぬだろう。手心を加えたとは言え、それだけのダメージは与えたはずだ」
「この有り様じゃ説得力ゼロじゃねぇかよ」
アインツがしたことは、単純にヒズミを叩きつけたことだけ。
それだけでこの空間の崩壊一歩手前にまで破壊されたのだ。
死んだと言われた方がまだ説得力がある。
改めて土煙を見つめ、そして小さく息をつ──
「マテリアル・スリー」
「っ!」
瞬間、光の輪が土煙の中心から伸び、一帯を明るく照らし出した。
それが終わると輪は土煙の中に戻り、やがて消える。
「消えろ」
小さな、静かな命令。
それに従い、大量の土煙が一瞬にして消えてしまった。
「は──!?」
いた。
立っていた。
平然と。
そこに。
「マジで情けねぇ。死にかけたぜ」
顔は血で真っ赤に塗り潰されてはいるのだが、笑っている。
凶悪に、邪悪に、残虐に、笑っている。
指先をオレたちに伸ばし、命じる。
「潰せ」
「が──!」
急に全身に何か重いものがのし掛かり、指先すら動かせないようになってしまう。
すぐ横では、要さんもアインツも何かに押し潰され、床に叩きつけられる。
「な──んだ……これは……!?」
最初のコメントを投稿しよう!