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「お帰り。何で血塗れ?」
無数の箱が乱雑に置かれ、それらを繋ぐ無数のケーブルが蜘蛛の巣のように張り巡らされている。
箱は、さしずめ捕らわれた虫と言ったところか。
部屋は必要以上に明るく、眩しくすらあるほど。
その中心で、横になっていた白衣姿の蜘蛛、八桐和人は立ち上がりもせずに言った。
「遊びすぎた。で、そっちはもう終わったか?」
「まぁね。ご所望の魔力の毒の排除装置、何とかついさっき組み上げた。でも問題は山積みさ。まず実験ができない。神の産声なんて規格外の魔力に耐えうるか分からない。他にも選り取り見取りだけど、何から聞きたい?」
「何も聞きたかねぇよ。どうにかしろ」
「あっはぁ。無茶を言うなぁ」
参った参った、と頭を掻き、ポケットから棒キャンディを取りだし、口でラップを剥ぐ。
ヒズミはそれを横目で見やり、箱を避けながらその奥の部屋へ向かう。
「あ、そうそう。そういえば、天使の歌は何かやらかしてくれたかい?」
「ああ?」
ヒズミは首だけで八桐を見ると、目を細めた。
「どういう意味だ?」
「君の様子を見る限りじゃ、彼らは一矢報いたようじゃないか。もしかすると、天使の歌の三つ目の能力がついに開花したんじゃないかと思って」
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