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見たところ、女性の体にも痣や生傷があった。
親子揃って傷だらけ。
痩せ細り、窶れている。
村外れの廃墟。
備えがあるようには見えない。
──迫害。
見ているオレの方の気が触れてしまいそうなほど、凄惨なものである。
「────」
吐きそうになる。
こんなのは嘘だ。
こんな現実があっていいはずがない。
頭の中に形容しがたい何かが音を立てて降り積もっていく。
「……」
ヒズミは泣き疲れて眠ってしまった。
女性はヒズミを横にさせると、フラフラと立ち上がった。
「……はぁ」
額に手を当て、本当に困り果てたように嘆息する。
そこに、何か危険なものが見え隠れする。
それが手首に走る無数の傷であることに気が付いた。
「リストカット……!」
メジャーな自殺の方法の一つ。
しかも傷は真新しい。
しかし──躊躇い傷だったか──深いものは一つもない。
──それはいい。
未遂だろうが何だろうが、この人はヒズミを残して死のうとしたということ。
さっきから肌を刺激する危うさの正体はそれだ。
この後にどんなことが起こるのかを、いくつかの可能性を考えてしまう。
──景色が変わった。
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